長年の問題を解決できる、画期的制度が誕生!!?…と言いたいところですが…
落とし穴もいくつかありそうなので、今日は制度のご紹介と注意したい点3つをまとめてみたいと思います。
相続現場でよく見られた要望
今までは↓のようなやり取りがよくありました。「この土地要らないんですけど、相続しないわけにはいかないんですか?」
「全財産を相続放棄しない限り、無理なんですよね~😔」
「じゃあ国に寄附できないでしょうか?」
「国はなかなか欲しがらないんで、難しいんですよね~😔」
家庭裁判所に対してする相続放棄は、原則3か月以内にしなければならず、要らない土地だけではなく、全ての財産を放棄しなければならず、使えないことがほとんどでした。
また、国や市町村に寄附ができるかと言うと、通常行政側も不動産の寄付は受け入れないのが実情でした。
そんな中、待望の、要らない土地を国にもらってもらえる制度ができることとなりました。
「国はなかなか欲しがらないんで、難しいんですよね~😔」
家庭裁判所に対してする相続放棄は、原則3か月以内にしなければならず、要らない土地だけではなく、全ての財産を放棄しなければならず、使えないことがほとんどでした。
また、国や市町村に寄附ができるかと言うと、通常行政側も不動産の寄付は受け入れないのが実情でした。
そんな中、待望の、要らない土地を国にもらってもらえる制度ができることとなりました。
相続土地国庫帰属制度とは?
先ほど要らない土地を国にもらってもらえる制度と書きましたが、法務省のパンフレットでは「相続した利用しない土地を手放す制度」と紹介されています。
また、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の第1条(目的)には、次のように書かれています。
この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。
また、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の第1条(目的)には、次のように書かれています。
この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。
法律から抜粋して硬めに表現すると、相続又は相続人に対する遺贈により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度、となります。
相続土地国庫帰属制度で気を付けること(注意点)
今回は、特に気を付けたいことを3点に絞ってお伝えします。
1 寄附ではないので、無料ではない
先ほどから”手放す””国庫に帰属させる”と表現されていましたが、”寄附”とは異なる制度です。
そのため、無料ではもらってくくれません。というか、かなり費用がかかります。
具体的には、「審査手数料(土地一筆当たり14,000円)」と「負担金(一筆20万円が基準)」が必要です。
司法書士に書類作成を依頼する場合は司法書士報酬もかかります。
高いですよね…これがこの制度の一番の弱点だと考えています。
2 土地のみで、建物は含まれない
山の中の売れない一軒家をどうにかしたいというご要望もよくあるのですが、管理コストの問題やモラルハザードの発生防止などのために、この制度を使える要件が決められており、「建物の存する土地」はNGとなっています。
また、相続”土地”国庫帰属制度ですので、「建物自体」も当然NGです。
また、相続”土地”国庫帰属制度ですので、「建物自体」も当然NGです。
3 共有名義になっている場合は全員で協力しないといけない
土地が共有地になっている場合には、共有者全員で申請する必要があります。
そのため、協力してくれない人がいると、この制度は利用できないことになります。
ただし、誰か一人でも「相続」か「相続人に対する遺贈」で取得してさえいれば、他の共有者は「売買」等で持分を取得していてもOKです。
🌸 🌸 🌸
いかがでしたでしょうか?
今回は気を付けることとしてデメリットを中心に書きましたが、これから事例が増え、この制度が所有者不明土地の予防に役立っていけば、運用や法令もきっとより使いやすいものに改善していくと思います。
私も早くご依頼受けてみたいな~とちょっと楽しみに思っています。
ちなみに、相続土地国庫帰属制度含めた一連の改正について、シリーズで書いていまして、前回は「相続登記の登録免許税の免税措置」について記事を書きました。よろしければそちらもご覧ください。
また、法改正の全貌は、法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」(外部リンク)から確認できますので、そちらもご覧いただければと思います。
(本日の執筆担当者:司法書士 西森由紀)