土地売買による所有権移転の登録免許税の軽減措置【令和5年度税制改正案】

2023年3月20日月曜日

司法書士 登録免許税 同業者向き 法改正

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ちょっと憂鬱な年度末の見積書…

年度末が近づいてきました。この時期となると、司法書士は見積書に頭を悩ませることになります。なぜかというと、登録免許税が分からないからです😫
今日は、登録免許税について、土地の売買による所有権移転登記を題材に書きたいと思います。

登録免許税の税率と計算例

司法書士受験時代には、土地の売買による所有権移転登記の登録免許税の税率は20/1000と覚えます(「登録免許税法」による)。
しかし、実務では「租税特別措置法」によって税率が引き下げられていて、現在の税率は15/1000です(本記事執筆時点の令和5年3月20日)。

具体的な事例を挙げると、こんな感じです。

評価額2,000万円の土地を購入する場合の登録免許税
本来    2,000万円×20/1000=40万円
軽減措置  2,000万円×15/1000=30万円

なんと、10万円の差額!!
計算間違いをして見積書を作ってしまうと、大変なことになります😅


租税特別措置法72条第1項による軽減措置

で、本題に戻ります。
この租税特別措置法による軽減措置ですが、数年おきに変更・延長されてきました。

現在の租税特別措置法72条第1項の条文は↓のとおりです。

租税特別措置法
(土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減)
第七十二条 個人又は法人が、平成二十五年四月一日から令和五年三月三十一日までの間に、土地に関する登記で次の各号に掲げるものを受ける場合には、当該各号に掲げる登記に係る登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、当該各号に掲げる登記の区分に応じ、当該各号に定める割合とする。
一 売買による所有権の移転の登記 千分の十五
二 所有権の信託の登記 千分の三


太字部分を見ていただくとお分かりかと思いますが、そう、この軽減措置は令和5年3月31日までとなっています。
もしかしたら、令和5年4月1日からは軽減されないかもしれません。

しかも、びっくりされるかもしれませんが、この租税特別措置法の改正、毎年年度末ギリギリに決定されます。
前回この条文が改正されたのは、2年前(令和3年)なのですが、なんと3月26日に国会で可決成立し、数日後の4月1日からスタートしています。

そのため、3月中に見積書を作成しようとすると、4月からの税率が未確定のため、頭を悩ませることになるのです。

毎年のことなので覚悟はしていますが、もっと早く決めてくれ~!と叫びたくなります。

令和5年度以降も軽減措置は延長となるのか?

では、今年はどうなのでしょうか。
令和5年度税制改正案を見てみたいと思います。

財務省ホームページの「令和5年度税制改正の大綱(2/10)」には、

土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長する。

と記載されています。原文はこちら

ぜひこの改正案のまま延長してほしいです🙏

近く決まると思いますので、改正情報が入りましたら、またご報告したいと思います。


🌸R5.3.28追記🌸 3年延長されました!!

(司法書士 西森由紀)

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熊本市中央区世安にある司法書士事務所です。 【ご依頼・お問い合わせ先】にしもり司法書士事務所/熊本市中央区世安一丁目6番38号-2F/ 電話 096-342-4620(平日9~17時)/司法書士 西森大樹・司法書士 西森由紀(熊本県司法書士会所属)

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