今回は、相続登記義務化に向けた環境整備として予定されている、
「相続人申告登記制度」について見ていきたいと思います。
…と記事を書き始めていたところ、
ちょうど昨日(令和5年3月22日)付で法務省の民法等改正のサイトが更新され、
「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン」がアップされました。
そこで、このマスタープランを参考に制度の概要をまとめていきます。
相続人申告登記制度とは
相続登記義務を簡単に果たしたことできる制度(令和6年4月1日スタート予定)です。
ちょっと法律的な言い方をすれば、
相続人申告登記の申出をした者は、相続登記申請義務を履行したものとみなされます。
(なお、遺産分割の申請義務はこの制度で履行することはできません。)
相続人申告登記の流れ
相続人からの申出👉審査👉登記官が職権で相続人の住所・氏名等を登記
という流れで進みます。
相続人が何名かいる場合でも、それぞれが申出をすることができます。
相続人申告登記の申出手続き
手続の詳細はまだ未公表ですが、マスタープランで方向性が示されています。
①相続人申告登記の申出は、書面(窓口提出か郵送)かオンライン(Web ブラウザ)。
※単純な事案ではオンラインのみで申出を完結することができることを予定。
②書面への押印やオンラインでの電子署名は不要。
③基本的な添付情報
イ 相続証明情報
将来的に戸籍電子証明書による戸籍関係書類の提出不要とする方策も検討予定。
ウ 申出者の住所証明情報
※行政間の情報連携等を効果的に用いることにより、可能な限り、添付省略やコピー等の提供で足りる取扱いを認めることとする予定。
相続人申告登記で注意すること(私見)
相続登記と比べるといろんな点が簡略化されていて、一見便利で良い制度のようにも感じられるかと思います。
しかし、相続人申告登記は、あくまでも相続登記申請義務を果たすための、ある意味一時しのぎの制度です。
マスタープランにも、”相続人申告登記は、相続登記とは異なり、相続人の氏名、住所等の公示に特化した登記であり、不動産についての権利関係を公示するものではないから、効果が限定的であることに留意を要する”と記載されています。
制度がスタートしてみないと雰囲気が分からないところもありますが、現時点では、何か事情があって相続登記ができない場合に、仕方なくやる登記と捉えていただいたほうがよいのではないかと考えています。
また、例えば、相続した土地を売却したり、住宅ローンを借りて家を建てる場合など、相続人申告では足らず、相続登記が必要なケースも多いかと思います。
この場合、わざわざ手間や費用をかけて一旦相続人申告登記をする意味はなく、最初から相続登記をしたほうが良いだろうと思います。
今回は以上になります。また新しい情報が入れば、ご報告したいと思います💁
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次回は、相続登記義務化に向けた環境整備としてすでにスタートしている相続登記の登録免許税の免税措置について書きたいと思います!
※こういう記事にありがちですが、本記事は改正法施行前の情報に基づいて作成していますので、記事が古くなると内容が合わなくなるかもしれません。どうかご了承ください。
(執筆担当者:司法書士 西森由紀)
(執筆担当者:司法書士 西森由紀)