不動産や会社の登記とは別に、成年後見登記の制度があります。
成年後見登記では、成年後見人の権限を記録し、その証明書を交付しています。
成年後見登記の証明書の種類
証明書には、大きく分けて次の2種類があります。
①登記事項証明書②登記されていないことの証明書
成年後見の記録がある場合には①の証明書が発行され、
何も記録がない場合には②の証明書が発行されます。
今回は、基本的な証明書である①の登記事項証明書をご紹介したいと思います。
ちなみに、②の登記されていないことの証明書なんてマニアックな書類だなぁと思われるでしょうが、建設業や宅建業の更新申請や、成年後見開始審判申立てに必要だったりしますので、意外と必要な機会が多い証明書だったりします。これもそのうちご紹介できればと思います。
成年後見の登記事項証明書の見方
見本を作ってみましたので、まずは👇をご覧ください。
記録は3ブロックに分かれています。
上のブロックには、後見が何によってスタートしたかが書かれています。
真ん中のブロックには、成年被後見人(認知症などの理由でサポートが必要な方)の情報が書かれています。
下のブロックには、成年後見人(サポートする方)の情報が書かれています。
このサンプルでは、「肥後家庭裁判所」で「後見開始の審判」があって、「田中花子」さんの成年後見人として「法務太郎」さんが就任していることが読み取れます。
ちなみに、東京法務局で色んなサンプルが掲載されていますので、成年後見以外も見てみたい方は、こちらを参考になさってください。→成年後見登記に関する証明書の見本について(外部サイト)
成年後見の登記事項証明書の使い方
成年後見人が後見業務をする場合に、委任状代わりに使います。
誰かの代わりに、何か手続きをする際には通常は委任状の提示が必要です。
しかし、成年後見がスタートしている場合は、成年被後見人は認知症などの理由でサポートが必要な方ですので、委任状を書くのは基本的に難しいです。
そこで、委任状代わりに、後見人の権限を証明する書類として、登記事項証明書を提示します。
成年後見業務で(昔)よくあったやりとり
司法書士「私は〇〇さんの成年後見人なので、手続きは私で行いますね。」
窓口「委任状をお願いします。」
司法書士「委任状ではなく、こちら(成年後見の登記事項証明書)がありますので、こちらでご確認をお願いします・」
窓口「・・・(何だろうコレ?)少々お待ちください。」
成年後見がもっとマイナーだった頃は、このやりとりが本当によくありました。
最近はだいぶ制度の理解が進んできて、初めから「登記事項証明書をお願いします」と言ってくださる窓口が増えてきたので、とてもありがたいと感じます。
とはいっても、
窓口「セイネンコウケン?(何それ?)」
と言われちゃうことも、今でも時々あります😅
成年後見の正しい理解を得られるよう、丁寧な説明を心がけています。
(本日の執筆担当:司法書士 西森由紀)