熊本地震から7年を迎えます。
発災当時私は益城町の別の事務所に在籍していました。
あの当時は、自然災害発生時の登記や法律相談の知識は全く持っていなかったため、日中は事務所や自宅の片付けをして、夜に本を読み、相談会等で実際に相談を伺いながら毎日が勉強の日々を過ごしました。
アドレナリンが出ていたから何とかなったのでしょうが、今思えば結構ハードは生活だったなぁと思います。
自然災害で被災した建物の建替え等に係る登録免許税の免除措置
今日は、自然災害発生時に自宅の再築時の登記の登録免許税が免税になる制度についてお伝えしたいと思います。
詳しくは、こちら(国税庁のサイト)をご覧いただければと思いますが、概要は…
自然災害により被害を受けた方の受ける登記が、5年以内に限り、登録免許税が免除される制度です。
根拠条文は、租税特別措置法第84の4・5です。
免除の対象になる災害
すべての災害が対象というわけではなく、被災者生活再建支援法の適用を受けることが必要です。
近年は1年に3件程度この規模の災害が発生しています(参考:防災情報のページ※外部サイト)。
災害の種類は、地震だけではなく、暴風・豪雨・豪雪・洪水・高潮・津波、噴火等が対象です。
免除の対象になる登記の種類
② 敷地を新たに取得する場合👉所有権の移転、地上権・賃借権の設定・移転登記
③ 上記①・②の取得のための借り入れがある場合👉抵当権設定登記(①②と同時に限る)
添付書類(非課税証明書)
シンプルな事案では、被災したことを証明する「罹災証明書」と「建物の閉鎖事項証明書」の2点を添付します。
複雑な案件になると、戸籍謄本、請負契約書、上申書、課税明細書等々…多くの添付書類が必要になることもあります。
特に、所有権移転と抵当権設定を申請する場合には、免除の有無で金額が大きく変わります。
難しい案件では、管轄法務局と免除要件と添付書類を打ち合わせることも必要になるかと思います。
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自然災害で自宅を再築する場合、さまざまな支援金・義援金・保険金等を受けたとしても、とてもお金がかかります。
被災された方の経済的負担が少しでも小さくなるように、適切にこの制度を利用していくことは大切だと思います。
また、租税特別措置法は一時的な免税に利用される法令ですが、
一時的なもので終わらせず、恒常的な制度になっていってほしいと願います。
(本日の執筆担当者:司法書士 西森由紀)