ざっくり振り返ると、夫が亡くなって、遺言書がない場合、妻と未成年の子どもが相続手続(遺産分割)をする場合には、家庭裁判所で特別代理人を選んでもらわないといけない…という内容を書きました。
この時は、子ども1名というケースでしたが、
今回は子どもが複数名のケースを考えてみたいと思います。
未成年の子どもが複数いて、遺言書がない場合の相続手続き
次の4人家族の家で、夫が遺言書を作成しないまま亡くなった事例を想定してみます。
夫
妻
長女(未成年)
長男(未成年)
夫の死亡後、不動産や預貯金の名義変更等の手続きのため、妻と子ども2名で、遺産分割協議(遺産の分け方を決める話し合い)を行うことになります。
しかし、法律上、親権者である妻は子の代理人となることができず、
家庭裁判所に子の代理人として「特別代理人」を選定してもらって手続きを進める必要があります。
(ここまでは前回のおさらいです。)
では、今回はその場合に特別代理人は何人必要なのか?
特別代理人の数について見てみたいと思います。
特別代理人はそれぞれに必要となる
結論から書きますと、この事例では特別代理人は子ども毎に必要です。もしも1名の特別代理人がふたりをまとめて代理できるとすると、
特別代理人は長女の立場と長男の立場から話し合いをすることになることになり、
長女と長男に平等な結果を考えるのは難しくなってしまいます。
そのため、未成年の長女と長男それぞれに、別々の特別代理人を選任しなければならず、
1名の特別代理人がふたりをまとめて代理することはNGとされています。
お子さんが多いご家族はどうなるのか…
未成年の子ども一人ずつに特別代理人が必要となると、
3人きょうだいなら3名の特別代理人、
5人きょうだいなら5名の特別代理人、
10人きょうだいなら10名の特別代理人が必要となることになります。
特別代理人には、ご親戚や司法書士・弁護士などの法律家が就任することが多いのですが、いずれにしても10名分選んでもらうって…考えるだけでも大変です…
そう考えると、お子さんが多いご家族ほど、若い時に遺言書を作成しておくメリットがあるのかなと思います。
(執筆担当者:司法書士 西森由紀)