- 子どもが未成年の間に、自分が亡くなったらどうなるのか?
- 独身で子どもいない自分が亡くなったらどうなるのか?
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家族の数だけ、もしもの時の悩みもそれぞれに出てきます。
もしもの時に考えておくと良いことは色々ありますが、法的に備える一つの手段として、遺言書作成があります。
未成年の子どもがいて、遺言書がない場合の相続手続き
例えば、夫・妻・子(未成年)の3人家族の家で、夫が遺言書を作成しないまま亡くなった事例を想定してみます。
夫の死亡後、不動産や預貯金の名義変更等の手続きのため、妻と子で、遺産分割協議(遺産の分け方を決める話し合い)を行うことになります。
しかし、未成年の子が話し合いをするというのは現実的ではありません。
親権者である妻が代理人として話し合いをすることになります。
ところが、妻は自分の立場と子の立場から話し合いをすることになることになり、おかしなことになります。
そうならないために、このような場合には、子の代理人として家庭裁判所に「特別代理人」を選定してもらって手続きを進めるというルールがあります。
しかも、妻が子の養育のために不動産や預貯金をいったん全て自分の名義にしたいと思っても、特別代理人は原則として、不動産や預貯金を子の法定相続分(1/2)を取得するように考えないといけませんので、望んでいた分け方が叶わない可能性があります。
このような不都合を、遺言書の作成で回避することが考えられます。
遺言書の作成
夫が「私の遺産の一切を、妻に相続させる」といった内容の遺言書を残しておけば、遺産分割協議は不用となります。
遺産分割協議が不要となれば、特別代理人を選定してもらう必要もなくなります。
さらに、遺言書を使えば不動産や預貯金の名義変更は比較的簡単にすることができます。
また、遺言書はやめることも、何度でも書き直すこともできます。
子が成人したり、家族構成が変わったり、その時の状況に合わせて遺言書を見直しすることができますし、若い方の場合は、そのように使いこなしていただくことをおススメします。
※遺言書は書き方が細かいところがあるので、実際に作成される場合には、ぜひ法律家や公証役場の助言をお受けくださいね!
【執筆担当:司法書士 西森由紀】